“
-
津波の直接の被害を免れた内陸部にも、田植え準備の「自粛」を余儀なくされている地域が広がる。
「ここは海水も入ってない。それなのに米を作っちゃだめだってよ」。同県名取市下余田の小関幸一さん(75)がうめいた。
太平洋から5キロほど離れた2.5ヘクタールの田んぼは「無傷」だ。しかし3月末、名取市と南隣の同県岩沼市の農業団体や行政でつくる水田農業推進協議会から、作付けを控えるよう通知を受けた。
津波で両市の沿岸部にある五つの排水機場が破壊された。低地の水をポンプでかき出すことができず、内陸で作付けをすれば、排水路を伝って沿岸部に水が流れ、遺体捜索やがれき撤去を妨げる――。小関さんを含む農家250戸ほどに協議会は説明した。
麦や大豆などへの転作を勧められたが、小関さんは「口では簡単だ」と苦笑する。「大豆を作るにしても機具をそろえるのに金がかかる。麦は収穫時期がずれるから、簡単に稲作へ戻せなくなる」
米が作れなくなった田んぼ。時折、側溝にたまった泥をかき出しに足を向ける。「手入れしとかないと使えなくなるから」。来年こそ米を、という意気込みを消さないように。
いま気がかりなのは、自粛したら国が補償してくれるかどうかだ。塩害の田んぼだけが対象になれば、同じ「被害者」であるはずの自分は枠から外される。
「残った人だって、生きていかなきゃいかんのにな。これじゃあ農家はみんなつぶれていく」
”-
asahi.com(朝日新聞社):田んぼ、塩害と自粛 「おれの代で終わりだべか」 - 社会 (via darylfranz)
他粛なり
(via ultramarine)