福島第1原発:建屋を遮蔽…特殊シートで1、3、4号機 - 毎日jp(毎日新聞)
東京電力は5日、福島第1原発から放出される放射性物質の量を少しでも抑えようと、1、3、4号機の壊れた建屋を一時的に膜材(特殊シート)で覆う「遮蔽(しゃへい)計画」案を政府に提示した。早ければ6月にも工事に着手し、年内の完成を目指す。ただ、建屋周辺の放射線量の低下が着工の前提となるほか、建屋が健在の2号機からも強い放射線が出ており実現可能性や実効性を疑問視する声もあり、政府は慎重に採否を判断する考えだ。
◇東電案を政府に提示
計画案は、政府と東電などでつくる「放射線遮蔽・放射性物質放出低減対策プロジェクトチーム(PT)」に提示された。建屋の周りに鉄骨で枠組み(縦50メートル、横60メートル、高さ約50メートル)を作り、膜材で建屋をすっぽり覆う内容。準備期間として1~2カ月程度、施工期間は3基合わせて4~6カ月程度を見込む。使用期間は1年未満を想定している。
ただ、膜材で遮蔽した内側に水素がたまり、再び爆発が起こる危険性も否めない。内側で放射性物質の濃度が高まり、かえって建屋に近づく作業が難しくなるとの見方もある。5日のPT会合では「選択肢の一つだが、それ以外に飛散を防止する方法がないかも考えるべきだ」との慎重論も出た。
PTではこのほか、放射性物質を含む粉じんを抑えるため建屋周辺に散布している飛散防止剤を、建屋にも直接かける作業を、4月中旬に実施したい考え。原発敷地内にケーブルを引き、コンクリートポンプ車(通称キリン)やロボットなどを遠隔操作できるようにして、作業員の被ばく防止を図ることも検討している。【大場伸也、山田夢留、青木純】