“ 「カレの居場所が分かる」との触れ込みで女性向けに公開されたスマートフォン(多機能携帯電話)用のアプリケーション(アプリ)の「カレログ」が、「プ
ライバシー侵害だ」「スパイプログラムでは」などと物議を醸している。恋人や配偶者の居場所が逐一わかるアプリがもたらした騒動とは。【岡礼子】
カレログは「彼氏のログ(履歴)」の意味。居場所を知りたい相手のスマホにインストールすると、スマホのGPS(全地球測位システム)機能などを使って
集めた位置情報を、パソコンで確認できる。通話記録やバッテリー残量も分かる。アプリ開発のマニュスクリプト社(東京都中野区)が8月30日に公開した。
同社は、浮気防止のため、彼のスマホにアプリを入れてこっそり追跡する使用法をアピール。このため、同日夜には抗議メールが約30通届き、短文投稿サイト「ツイッター」でも批判が高まった。
数日後には、ウイルス対策大手のマカフィー社が「不審なプログラム(PUP)」に認定した。スマホの所有者にカレログが入れられたことや動いていること
を明示する機能がなく、いわば“隠れて”個人情報を外部に送信するので「スパイプログラムのようで、悪用の危険があった」と認定理由を説明する。
マニュスクリプト社は「同意の必要性も十分に注意を促しているとの認識だった」としているが、抗議が広がったため翌31日にはサイトに謝罪文を掲載。そ
の後、通話記録を送信する機能は停止し、スマホを作動させるとカレログのアイコンが常に表示されて、カレログが動いていることが分かるように改良。マカ
フィー社は改良版はPUP認定していない。
位置情報を他者と共有する仕組みは、企業の業務管理などですでに使われている。子供の居場所を保護者に知らせたり、友人同士で現在地を通知しあったりす
るサービスもあり、自ら登録するか、親が自分の子供を登録して使う場合は問題はない。しかし、相手の同意なく利用すると、「意図に反して位置情報などを送
信した」として刑法の不正指令電磁的記録供用罪にあたる可能性もある。
マニュスクリプト社の三浦義則社長は書籍の企画・編集を手がけてきたが、デジタルコンテンツに手を広げようとアプリ開発を始めた。「無名の会社なので、
浮気防止に機能を絞れば関心を呼ぶのではないかと考えたが、やりすぎだった。こんなに非難を浴びるとは思わなかった」と振り返る。カレログのダウンロード
数は約1万5000(9月16日現在)で、実際に利用されているのは約半数。9月末で試用無料期間を終了し、10月1日から本格的なサービスを始める予定
だ。
総務省は「個人の所在情報保護の必要性は高い」と認識し、カレログについて「本人の同意の有無が重要。PR方法に問題があった」と指摘する。マニュスクリプト社から「恋愛支援アプリとしてサービス改善を検討している」との説明を受け、今後を注視している。
インターネットの法律に詳しい森亮二弁護士は「他人のスマホにアプリを入れる発想はこれまでにないもので、プライバシーを尊重する感覚が希薄になってい
るのではないか。公開時に監視ツールだったことは否定できない」と指摘。カレログはアイコン表示などで、同意が前提のサービスと認められる余地は出てきた
が「恋愛を支援するどころか、破壊するサービスだ」と危惧する。”
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<カレログ>恋人の行動追跡アプリ「やりすぎた」 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース