IMEIは「盗難品の携帯電話を利用できなくするため」にも利用が可能です。たとえば、EIR(Equipment Identity Register)というIMEI番号を登録する仕組みを導入し、盗難された携帯電話や、不正利用が確認された携帯電話のIMEI番号を登録して、ブラックリストデータベースを構築します。
携帯電話は、通話・通信を行う際に、通信事業者にIMEIを通知するので、事業者はデータベースを確認し、もしブラックリストに登録されていれば、通話を行わなかったり、端末を追跡したりするというような処理を行うのです。
英国やヨーロッパ諸国では、このEIRを使ったブラックリストデータベースがすでに構築されていて、携帯電話の盗難の届出があった場合、通常、48時間以内にブラックリストへの登録が完了し、通信機能を止めることができるようになっています。
欧州諸国間では、お互いにEIRを参照できるようになっているので、たとえば英国で盗まれた端末がイタリアで利用されそうになってもブロックできます。ただし、EIRを構築していない国もまだ多くあるので、盗まれた携帯電話のSIMロックが解除され、そのような国に不正に輸出された場合、盗品の携帯電話の利用を止めることはできない、という問題は存在し続けます。
なお、IMEI番号は基本的には、工場出荷時に各端末に書き込まれていて変更することはできません(メーカー修理を行った場合は変更される場合があります)。ただし、クラッキング行為によってIMEIを変更したり、海賊版の携帯電話や闇ルートなどで出荷されている場合は、そもそも最初から登録されているIMEIがでたらめだったり、ひどいときにはどの端末にも同じIMEIが書き込まれているケースなどもあるようです。
英国では、法律でIMEI番号を書き換えることを禁止していますが、技術的に可能である以上、残念ながら犯罪抑止への完全な対策とはなりえていない、という声もあります。