【ウィーン樋口直樹】東日本大震災に伴う福島第1原発事故で、同原発から約40キロ離れた福島県飯舘村で測定された放射線レベルが、国際原子力機 関(IAEA)の避難基準を超えていたことが30日、分かった。IAEAはウィーンでの記者会見で、同原発から20キロ以内を避難指示圏に設定している日 本政府に対し、状況を「注意深く」評価するよう勧告したことも明らかにした。
IAEAのフローリー事務次長は会見で、飯舘村での放射線レベルの測定値が「IAEAの作業上の避難基準のひとつを上回った」と述べた。その上で 「我々は(日本政府に)状況を注意深く評価するよう勧告し、日本は既に評価中であることを示唆している」とも述べた。日本に対し事実上、地元住民への避難 指示圏の見直しを促したものとみられる。
IAEAのこうした見解は、福島第1原発からどこまでの範囲の住民に避難指示を出すべきかを巡り、新たな議論を呼びそうだ。
IAEAの専門家の説明によると、飯舘村の土壌で測定された放射性物質の濃度は、1平方メートル当たり約200万ベクレルで、IAEAの避難勧告 基準の約2倍に相当するという。ただ、飯舘村の測定値は1カ所のみで測られた散発的なデータで、あくまで初期的な評価であることを強調した。
飯舘村は、避難指示圏の外側に設けられた屋内退避指示圏(福島第1原発から20~30キロ)のさらに外側にある。福島第1原発から遠く離れた場所で放射線レベルが突出していることについて、日本の文部科学省は「地形や風向きの影響と考えられる」としていた。
一方、天野之弥事務局長は30日の会見で、原発の安全対策などに関する初めての高官級会議を6月20~24日にウィーンで開催すると発表した。IAEA加盟国の首相や外相などに招待状を送るという。
- 放射性物質:飯舘村、避難基準超す 日本にIAEA勧告 - 毎日jp(毎日新聞)