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- 東日本大震災:南部杜氏、入魂の銘酒 福島・いわきの蔵元、ふるさと被災も仕込み続行 - 毎日jp(毎日新聞)
東日本大震災:南部杜氏、入魂の銘酒 福島・いわきの蔵元、ふるさと被災も仕込み続行
福島県いわき市の老舗蔵元「四家(しけ)酒造店」が震災後も酒造りに励んでいる。地震で市内の大部分が断水したが、緊急的に井戸水を使用して切り抜けた。岩手県から来た南部杜氏(とうじ)が、同じように被災したふるさとを気にかけながら、精魂込めて地元の銘酒を仕上げている。
四家酒造店は江戸時代後期の1845年の創業で、日本酒「又兵衛」が親しまれている。震災があった11日は、もろみを搾る作業を間近に控えた日だった。タンクが揺れ、もろみ約80リットルがこぼれるなどの被害があった。
市内は断水し、酒蔵の水は1週間出なかった。池の水で、こぼれたもろみを酒蔵から洗い流し、タンクの酒は外から井戸水をかけて冷ました。そして、27日には、高温にした湯釜に酒の入った管を通して殺菌する総仕上げの「火入れ」にこぎつけた。
仕込みをするのは、優れた伝統の醸造技術をもつ南部杜氏。岩手県花巻市から来た菅原栄一さん(72)は、三陸海岸が津波被害に遭い、ふるさとでも流された蔵元があることを知った。「胸が痛んで、何でもいいから物資を届けたい」と心配した。だが、酒づくりの途中で、杜氏が酒蔵を離れることはできない。四家良一社長(69)は「いわきにとどまってくれた職人のこころに頭が下がる」と感謝する。
福島県産品は、原発災害による放射線量への過度の警戒から、客離れが心配されている。だが、四家社長は「今年の酒は、すっきりした口当たりに仕上がっている。風評被害を吹き飛ばしたい」と意気込む。菅原さんも「酒を造る責任を全うしたい」と、最後の作業に没頭している。【町田徳丈、森禎行、種市房子】
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