――まずは、ニフティクラウドというクラウドサービスを提供するきっかけは何だったんでしょうか?
上野氏:実は、クラウドのニーズは社内から出てきたんです。
インターネットプロバイダとして@niftyを運用していく中で、ほかのプロバイダとの競争の中で、ネットワークやコンピュータリソースの最適化ということが大きな問題になっていたんです。やはり、プロバイダというのは、一種の設備産業になるため、どれだけリソースを効率よく運用できるかが、事業の利益を左右します。
ただ、ハードウェアを絞って新しいサービスを提供できないようでは、ユーザーさまから@nifty自体が見限られることになります。そこで、持っているリソースを効率よく運用するために、サーバーの仮想化が必要になってきました。
サーバーの仮想化は、単にリソースの効率運用ということだけでなく、社内で新しいサービスを展開する時に、いちいち新しいサーバーを導入して、ネットワークを増強するといった作業をしていては、タイムリーなサービスを提供できません。
例えば、夏のオリンピックに合わせて、オリンピック関連の情報を提供するサーバーが必要になっても、その数年前から新しいサーバーを導入する計画を立てるということは、IT企業にとっては非常に難しいことです。実際にサービスのイメージが出来上がるのが、オリンピックの直前だったりするため、どのくらいの性能を持つサーバーが必要になるか全く分かりません。
また、サービスを提供しても、あまり人気がなければ、高性能なサーバーを導入しても無駄になってしまいます。何よりも、オリンピックが終われば、そのサーバーは必要なくなります。
こういったことが何度もあったので、NIFTYでは2007年からシステム標準環境をVMwareESXを使って仮想化しています。サーバーを仮想化することで、バレンタインやクリスマスなどの季節的なイベントに対応してサービスをタイムリーに提供することが可能になりました。
”- 【クラウド特捜部】 ISPが持つリソースやノウハウをユーザーにも提供する「ニフティクラウド」 -クラウド Watch