Quantcast
Channel: Shiitake's tumblr.
Viewing all articles
Browse latest Browse all 46471

"1.目的2.方法3.結果(事実)4.結論(考察)この構成は、中学の理科実験のみならず、じつは自分がこれまでに書いたほぼすべてのレポートに共通に使える、きわめて汎用性の高いアーキテクチャーで あった。大学..."

$
0
0
“1.目的
2.方法
3.結果(事実)
4.結論(考察)

この構成は、中学の理科実験のみならず、じつは自分がこれまでに書いたほぼすべてのレポートに共通に使える、きわめて汎用性の高いアーキテクチャーで あった。大学のレポートも、卒論も、いや学位論文だって、この構成を基本として作成した(多少は複合し応用したが)。会社のレポートも、ほぼすべてこの フォーマットで書ける。無論、レポートの種類に応じて、これとは違う書式や構成で書くことはある。だが、事実と思考を他者に報告し共有するために、共通し て依拠できるスタイルという点で、最も適した構成だと断言できる。

最初の「目的」は、明確に書く。何が問題なのか。何を明らかにしたいのか。その行為に至った背景と意図。自分の持っている仮説。そして、「何が明確になれば、本目的を達成したと言えるのか」を、きちんと定義する。そうすれば、「結論」のところで、成功したとか、失敗だったが教訓を得た、という風に書きやすくなるし、最初と最後がきちんとかみ合うので全体構成がまとまるのである。

次の「方法」 は、調査なら調査の方法を、実験なら実験の方法を書く。どのように問題にアプローチしたか、どう事実を収集したかを書くのである。たとえば調査ならばネッ ト検索で当たりをつけ、参考書や文献を読んで調べたとか、実地に訪問して見てきたとか、経験者たちをインタビュー調査したとか、あるいは実験してみたとか である。図などを利用して簡潔に書こう。適切に調査したのか、再現性はありそうか、が読む人に判断できればそれでいい。

結果」 は、事実の記述である。普通は、予備的な調査の結果がまずあり、それから本調査のデータや記述が並ぶ。表や図などを使って、わかりやすくまとめることが肝 心だ。レポートは長ければ良いというものではない(一部の官庁系の請負仕事をのぞく--あの分野には「100万円の委託業務だからレポートの厚さは最低 10cmね」などといったナンセンスな要求が存在する)。もしもデータ量が多くて長くなりすぎるときは、詳細は「添付資料」にして本文を短くする。レポー トの読み手は上司だったり顧客だったり関係者だったりするわけで、書き手を批評できる立場にある。だからわかりやすさが尊ばれる。

「結果」を書くときの注意点は、事実と意見をなるべく区別しようという態度で進めることだ。その一つの方法は、言葉(形容詞)ではなく、数字で記述するよう心がける事である。「大勢の人が感心した」と書かずに、「70%の参加者が『興味を持った』とアンケートに回答した」という具合だ。あるいは、「4人の著者のうち、3人がこの見解に賛同している」と書く。こうすることでレポートの客観性が増す。

む ろん、哲学的に言えば「事実」と「意見」は厳密に分けられるものではない。どの事実を報告し、どの事実は無視するかを決める時点で、すでに書き手の価値観 と評価が入り込む。しかしここでは、客観性を尊ぶ姿勢で書くことが、読み手の受容度を上げるポイントだと考えよう。なぜなら、同じ手順を踏めば、読み手も 同じような結果を得られるはずだ、と思わせるからである。

結論」の部分は、前節とは逆に、自分の考察や評価、つまり意見を書く。このように客観的事実のセクションと主観的意見のセクションを分離することにより、「君の結論には賛成できないけれども、このレポート自体は役に立つ」という風に、有用性を認めてもらう可能性を高められる。モジュラリティを高めることで再利用性を確保するわけである。

考察を書く際に一番大事なポイントは「気づき」だ。単に数字やデータの並びを眺めただけでは気づかない点を「発見」できると、考察の価値が生まれてくる。そのために、数値をグラフ化して傾向や相関関係をつかんだり、あるいはエピソードを4象限のフレームワークで プロットし分類したりして、その「気づき」を伝えることだ。「目的」では意図と仮説を記述した。「結論」では、肯定的であれ否定的であれ、その仮説が検証 される訳だが、ここに新たな気づきが加わることによって、考察の多面性が生まれる。結果として、最初の問題は解決したが別の問題に気づいた、となっても構 わない。むしろそのような態度こそ、次につながる前向きな書き方だと言えよう。

このように考えてみると、良いレポートというものは全体として、ある一つのキーワードを軸に構成されていることが分かる。それは『検証可能性』 である。「目的」で仮説を提示し、「結論」でそれを検証する。「方法」も追試検証が可能なように記述する。「結果」では誰でも真偽を判定できる客観的事実 を並べる。このように、他者にとっても検証可能な形でレポートを提示することで、その再利用性と信憑性が高まるのである。

レポートとは、事実と思考を他者に報告し共有する道具だ。そこでは「自分の名札付きの意見」は珍重されない(自分が斯界の権威でない限り)。誰が行っても同じ結論に至る、無名の客観性が重要なのだ。では、レポートの質や創造性はどこに出るのか? それはスタイルにはない。「仮説」設定の上手さと「気づき」の深さで評価されるのだ。”

- タイム・コンサルタントの日誌から : 仕事のレポートはこう書こう (via flatmountain)

Viewing all articles
Browse latest Browse all 46471

Trending Articles