[東京 10日 ロイター] 日本滞在歴4年の英国人男性(40)が発起人となり、東日本大震災を記録し、被災者を支援するためのチャリティー本(電子書籍)が完成した。男性が「ツイッター」上で写真や文書、アートなどの投稿を呼び掛けたところ、3日間で89件の素材が集まり、編集者やデザイナーなど200人以上の協力を得て異例の速さでの完成となった。
同書籍「2:46: Aftershocks: Stories from the Japan Earthquake(原題)」は計画開始から1カ月で電子書籍としてダウンロードが可能となり、すでに2万5000ドル(約200万円)が日本赤十字社 に送られた。現在は出版化も進行中で、日本語、オランダ語、ドイツ語への翻訳、日英2カ国語版も計画されている。
この男性は慈善活動に焦点を当てるためとして、ツイッターのアカウント名「Our Man in Abiko」のみを公表。3月11日の東日本大震災発生後、千葉県我孫子市にある自宅でシャワーを浴びながら自分にできることは何かを考えていた際、アイデアを思いついたと明かした。
「被災者支援のための資金集めと震災の記録という、二重の役割を果たすものをと思っていた。(ツイッターでの呼び掛けは)自分が知っている唯一の方法だった」と述べた。
男性はツイッター上で呼びかけを行い、3日間でジョン・レノンの妻オノ・ヨーコさんやSF作家ウィリアム・ギブスン氏などの著名人をはじ め、被災地に住む人や震災を取材するジャーナリスト、被災者の親類、日本に滞在したことのある外国人など、世界各国から89のエントリーを集めた。
男性は集まった素材の編集についても、「問題があるときや助けが必要なときはいつでもツイッターに聞く」として、ツイッターのアカウントから協力を要請。最終的には作家や編集者、デザイナーや翻訳者など世界中から200人以上が参加した。
電子書籍化については、米アマゾン・ドットコムとソニーの「リーダーストア」が協力。通常かかる費用や手数料は免除された。
さらに、支援の継続性を高めるために重要だった書籍出版の道を開いたのもツイッターだった。
当初は1人の参加者がアマゾンの幹部に接触したが実現には至らず、その後アマゾンのシアトル本社にコネを持つ参加者も協力、発起人の男性 もアマゾン日本法人の代表にツイッターを通じて接触した。努力は実り、顧客の注文に応じて印刷するプリント・オン・デマンドでの出版が決まった。出版費用 は免除され、販売は近く開始されるという。
発起人の男性は「自分には大きなコネはなかったが、幅広い協力をまとめることができた。自分にできたのだから、ほかの多くの人もできるは ず」とコメント。自分の呼び掛けに対する反応に驚かされたとし、必要なときに世界をつなぐことのできるツイッターの可能性が示されたと述べた。
”- 震災チャリティー書籍、ツイッターで「スピード」完成 | 世界のこぼれ話 | Reuters (via fmfy)