鈴木氏は埼玉県三郷(みさと)市出身。家庭の事情で高校卒業時(1999年)に大学進学が かなわず、東京都に入庁した。しかし、翌年、法政大学法学部の夜学に進学し、“二足のわらじ”生活を開始。法大ではボクシング部主将も務め、「まっすぐな 性格で、活動的でじっとしていられない」というのが周囲の評だ。
都では衛生研究所、福祉保健局総務課、知事本局総務課などに勤務し、2008年1月、財政破綻した夕張市に都から公募で選ばれて応援派遣(全3人)された。この際、2年余に及んだ夕張生活では、業務外にも地域の祭りや、大学生と協力した市民アンケートに参加。エネルギッシュな働きぶりが認められ、10年4月から内閣府地域主権戦略室に異例の出向を遂げた。
「今度は市長になって一緒に夕張を元気にしよう。また戻ってきてほしい」。イベント運営で共に汗を流した仲間から誘われたのは昨秋だった。
年収200万円減
当選するかは分からないし、出馬すれば当落にかかわらず、公務員に復職できない。市長といえども、国の管理下で再建に取り組む財政再生団体である夕張市の場合は、月給が25万9000円、年収は374万円に過ぎない。市長になっても、年収ベースで200万円以上も減る。眠れないほど悩んだが、「答えが出ないのはやってみたいからだ。夕張の厳しい状況を打破するために人生を懸ける」と出馬を決意した。
夕張市は322億円の赤字を10年度から17年間で解消する財政再生計画が重くのしかかる。人口は5年で約2000人減少、1万人割れは目前で、赤字解消の前に街がなくなるとの危機感が強まる。「市民の手で、国と戦うリングに上げてもらった。国に実態や問題点を伝え、協議するための第一歩を早く実現したい」。25日午後、鈴木氏は市内で記者会見し、財政再生計画の見直しに取り組む意欲を示した。
- 年収200万円ダウンも夕張に人生懸けた 羽柴氏破った30歳市長+(1/3ページ) - MSN産経ニュース