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"興味深いエピソードをひとつ紹介します。1792年8月、シャルル=アンリ・サンソンがある紙幣偽造犯をギロチンで処刑しようとしたときのこと。様々な不測の事態が起きて、助手の人手が足りなくなったため、サンソン..."

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興味深いエピソードをひとつ紹介します。

1792年8月、シャルル=アンリ・サンソンがある紙幣偽造犯をギロチンで処刑しようとしたときのこと。
様々な不測の事態が起きて、助手の人手が足りなくなったため、サンソンは死刑を延期せざるを得ないと判断。
しかし、見物に集まった群衆は不満を漏らし、ある若者がサンソンにこう言いました。

「あんたは国民の敵を助けようって言うのか? 助手なら周りにたくさんいるじゃないか!」

サンソン「わかった。では君に手伝ってもらおう」

若者「…え? オレが?」

若者はちょっと後悔したが、自分で言い出した以上後には引けません。
すでに長く待たされすぎた死刑囚は錯乱状態で大暴れしたものの、若者の力を借りてなんとかギロチンに縛り付けると、サンソンは言いました。

サ「君は素晴らしい愛国心を見せてくれたね。一番大事な役を譲ってあげよう。やってみるかい?」

そう言ってサンソンはギロチンのスイッチの紐を若者に差し出しました。
若者はすでに顔面蒼白になっていたものの、勇気をふりしぼって紐を引き、見事斬首をやってのけました。

サ「よくやった。最後に斬った首をみんなに見せることになってるが、無理はしなくてもいい。嫌なら他の助手にやらせるから」

若「や、やってやるよ、それくらい…!」

そう言って若者は、籠から首を取り出した。
が、その首をかざそうとしたところで卒倒。
気絶したのかと思いきや、なんと事切れてしまいました…。



サンソンもちょっとイジワルが過ぎたんじゃないかという気もしないでもないですが、処刑台に立ち、死刑を執行するということは、極度の緊張とストレスを強いるものであり、何の訓練も心構えもできていない素人にとってはまさに命に関わるほどのものだということが、このエピソードからうかがえます。

単に人を殺すというだけでも相当の精神力を要する上に、処刑台の上では衆人環視の中、異様な熱気に晒され、しかももし処刑に失敗すれば死刑執行人の方が責任を取って処刑されることさえありました。

死刑執行人の苦悩と重圧はわれわれの想像を絶するものがあると思われます…。
(紐を引っ張るだけのギロチンですらこうなのですから、剣や斧で直接首を斬っていた時代にはそれ以上だったでしょう。)

- 巷にひとり在り : 『ダンス・マカブル』第15話「暗殺の天使と首斬りの紳士」後編 (via ginzuna)

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