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"このメルマガは北京から成田に向かう飛行機の中で書いたものです。本来火曜日の昨日が締め切りなのになかなか書けませんでした。時間がない訳ではありません。時間があっても熱意も衝動も出てこないので書けなかったの..."

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“このメルマガは北京から成田に向かう飛行機の中で書いたものです。本来火曜日の昨日が締め切りなのになかなか書けませんでした。時間がない訳ではありません。時間があっても熱意も衝動も出てこないので書けなかったのです。

一晩寝て疲れが取れたお陰かどうかはわかりません。気分が明るくなりました。不思議にいくつか書きたいタイトルを思い付きました。その中から「書きたくても書けなかった。そして書けた」という体験を選ばせていただきました。

皆さんがどうかは知りませんが、私には結構定期的に元気のない時期がやってくるのです。理由はある時もあれば、全く理由がない時もあるのです。定期的に来るので冗談で「生理」と言ったりもします。

社長をやっていた頃、社員に見られないように我慢したり、喫茶店で調整したりしていましたが、人の目を気にしなくて済む今は思い切り自宅でゴロゴロします。しかし、ゴロゴロしても気持ちの中に罪悪感がじわじわ滲み出て決して良い気分になれません。

でも不思議なことにそれからそう遠くない時期に急に元気が戻ってきます。まるで雨の後の青空のように。推測ですが、たぶん人間の体調も気持ちももともと天気のように移り変わるものでしょう。人間も自然の一部だと思えば、決して不自然な話ではないと思います。

それなら人間の集合体である企業、あるいは国家はどうでしょうか。果たしてずっと元気な組織や国家はあるだろうか、またそれが人間にとって本当に必要だろうかと考えてしまいます。

起業したばかりの時に、私も常に社員や組織に元気があるように心掛けしていたものです。そのためにまず自分が無理して元気を出して社員達を鼓舞していました。自分がとても元気がない時にそんなことをするため、本当に寂しくつらい時はありました。

「宋さん、実はあの頃、宋さんが居る時と居ない時の社員の様子が全然違っていましたよ」。先日、古い社員からこれを聞いた時「やっぱりそうだったのか」と思いつつも、どこか「社員達に悪かったな」とも思いました。

今の自分がもう一度経営者に戻った場合はどうするかについて、まったく答えられませんが、元気に拘ることだけはしないと思います。疲れるからではなく、まったく効果がないと分かったからです。

若いベンチャー企業には社長から社員まで元気がよい企業があります。トイレのなかでも体育会系の独特な言葉で声を掛け合って気合を確かめ合います。しかし、このタイプの企業は短期的によくても長期的には殆ど萎んでいきました。

元 気やモチベーションは作られるものではありません。むしろ元気のない時、モチベーションのない時は個人や組織の中に何かが発酵しているのではないかと思い ます。見た目では元気のないこと、モチベーションのないことはあまり気分のよいものではありませんが、それは単なる気分の問題です。

バネが縮むことでエネルギーを蓄えます。朝は暗黒を通じて光を放ちます。草木は寒さを耐えて新緑を噴出します。我々人間は元気のない時期、自信のない時期を経て成長の中身を作るのです。

「元気を出しましょう」、「強いので大丈夫だ」、「自信を持とう」という元気付け作業は無駄だけではありません。自然の一部である、人間と組織の大切な蓄積と発酵の時期を壊しているような気がしてなりません。

敢えていう。元気が要らなくていい。自信がなくていい。その時期も大切だから。”

- 元気がなくていい: 宋文洲のメルマガの読者広場 (via 60rpm)

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