栃木・鹿沼のクレーン車暴走：死亡児童６人に 運転手「記憶ない」
◇遺族「なんでうちの子が」「命返してくれ」
栃木県鹿沼市樅山（もみやま）町の国道２９３号で１８日朝、登校中の市立北押原（きたおしはら）小の児童の列にクレーン車が突っ込んだ事故で、重 傷だった同小６年、熊野愛斗（まなと）君（１１）が同日午後、収容先の病院で死亡した。死者数は計６人となった。県警鹿沼署によると、自動車運転過失傷害 容疑で現行犯逮捕された同県日光市大沢町、運転手、柴田将人容疑者（２６）は「ドンとぶつかったのは覚えているが、人をはねたかは覚えていない」などと供 述しているという。
柴田容疑者の勤務先「小太刀（こだち）重機」（鹿沼市）によると、柴田容疑者は１８日午前７時４０分ごろ、鹿沼市内の工事現場に向かうため会社を 出発、数分後に事故を起こした。鹿沼署によると、事故後は一時放心状態だったが、同署の調べに「重大な事故を起こして申し訳ない」とも供述しているとい う。
現場から学校までは約１７０メートル。通学指導をしていた倉澤敏夫校長（５６）によると、倉澤校長と職員は現場の国道に立ち、登校する児童たちに 「おはようございます」と声をかけていた。事故直前は近くに２０～３０人の児童がいたが「クレーン車は一直線に子供たちの列に突っ込んでいった。決して遅 いスピードではなかった。なぜ突っ込んだのか、理解できない」と話した。
遺族は無念さをあらわにした。関口美花さん（９）の遺体は自宅近くの伯父安彦さん（３６）宅に運び込まれた。中から母博子さん（３４）の泣き叫ぶ 声が聞こえた。美花さんは博子さんと２人暮らしだった。昨年サッカーを始めた伊原大芽（たいが）君（９）の試合を１７日に観戦したばかりという祖母千代子 さん（６５）は「なんでうちの子が。あと少しで学校だったのに」。星野杏弥（きょうや）君（１０）の祖母高橋キヨ子さん（５７）は「できることなら（杏弥 の命を）返してもらいたい。これから大きく育てるのが私の役目だったのに」と声を振り絞った。【浅見茂晴、古賀三男、中村藍】
毎日新聞 2011年4月19日 東京朝刊
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