東日本大震災の被災地で、津波に流されるなどして損壊した車の保管場所がパンク状態となって おり、被災した自治体の担当者が頭を抱えている。撤去作業が徐々に進む一方で、持ち主が名乗り出ることは少なく、自治体が用意した保管スペースは埋まって いくばかり。関係者からは「回収した車両はまだ氷山の一角。このままでは確実に保管しきれなくなる」との声も上がっている。(松本学)
宮城県の推計では、今回の地震で被災した車両は県内で約14万6000台。岩手、福島両県はまだ算出していないが、それぞれ数万台から数十万台に達するとみられている。各市町村では民間業者に委託したり、自衛隊の協力を得るなどして被災車両の撤去を進めている。
海岸部で壊滅的な津波被害を受けた宮城県石巻市では、「職員だけでは物理的に処理しきれない」(市環境課)と、民間業者に撤去作業を委託。先月28日から幹線道路を中心に撤去作業を始め、これまでに約3千台を回収、保管している。
保管した車は所有者が判明次第、引き渡しや廃車の申し出に対応しているが、名乗り出るのは1日に20人程度。このため、市内2カ所に設けた保管場所はすでに満杯状態で、今週また新しい保管場所を設けることになった。
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同市内で撤去作業にあたっている自動車リサイクル会社「ヨシムラ」(岩手県一関市)の鈴木潔さん(59)は「石巻市内の被災車両は、最終的に2万~3万台くらいになるだろう」と推測、「現在の保管スペースではまったく足りない」と指摘する。
鈴木さんによると、ナンバープレートや車内に保管されていた車検証などから、所有者が特定できないケースは少ない。それでも持ち主がなかなか名乗り出ないことについて、「家を流されるなどして、まだ車のことまで気が回らない被災者も多いのではないか」と話す。
同市は、6カ月間経過しても所有者が判明しない車については、自動車リサイクル法に基づいて処理する方針だが、現状では今後も保管場所不足が続くのは必至。ある市職員は、「個人的には、6カ月という保管期間を短縮しなければ立ちゆかないと思う」と話している。
- 津波 - [事件]トピックス - MSN産経ニュース (via 60rpm)